症例02 ぎっくり腰・右臀部痛

当院にご来院いただいた患者さんの症例について書いていきます。

目次

主訴 ぎっくり腰・右臀部痛

30代 男性

現病歴

最近お子さんが産まれ、抱き上げようとした際に腰部へ違和感が出た。
翌朝起き上がろうとした際に腰部の右側へ痛みが出現した。
また昔から疲れてきたり負担をかけると右臀部に痛みが出ることがあった。

既往歴

蓄膿症 肺炎(2年前) 花粉症 小児喘息

症状

  • ぎっくり腰 動作時痛が酷く、ロボットのような動作になっている。特に右側の腰部の疼痛が強い
    • 動作時痛カ(+)前屈不可 右回旋不可 左回旋で右腰に疼痛(+)後屈詰まり感(+)可動域制限 腰椎がストレート
    • 圧痛(-)
  • 右臀部痛 歩行時に痛みがある。荷重時に痛みが増加する。
    • 歩行時痛(+)圧痛(+)
    • 股関節 屈曲時痛(+)内転時痛(+)可動域も共に狭い
    • 腸腰筋の筋力差(+)(L<R)
    • 右下肢の筋緊張(+)圧痛(+)

症状の考察

  • お子さんが産まれたことにより生活状況に変化があり、腰部への負荷をかけることが増えたために痛みが出現したと思われる。
  • 腰部の圧痛(-)のため筋損傷はなく、腰部の筋が収縮して固まってしまい上手く伸ばせないために動けないと思われる。
  • また右の腸腰筋の筋力低下や上手く使えていないために、昔から右臀部に疲れると痛みが出てしまっていた。そして右腰部への負荷もより多くなってしまっている。
  • 腰椎がストレートなため、反らすことができずに普段から腰部に対して負荷をかける生活を続けているために腰痛になりやすい状態にある。
  • 仕事柄、ずっと立ちながら作業をされている為に血虚が進み、そこで発生した虚熱が大腸経に波及してしまうと蓄膿症を起こしてしまう。また今回は胆経・膀胱経に虚熱が波及したために下肢から腰部にかけての筋緊張や、圧痛、動作時痛が出ていると推測される。

症状に対しての施術

本治法として肝虚熱証と捉え、肝経と腎経を補いました。
また胆経に異常が見られたので置き鍼を行いました。
標治法としては背部兪穴、下肢膀胱経、肩背部に対して置鍼、血を動かすために肩背部、兪穴に知熱灸をしました。
腰部への強刺激は避け、下肢を多めに施術しています。
最後に調整として全身へ散鍼を行い、大腸経には瀉的な散鍼を行い気を散らしました。
この時点で動作時痛も減少し、前屈可能となりましたが、患部を安静にするために、追加でテーピング固定とさらし固定を行いました。
そして日常生活での姿勢や動作に対してのアドバイスを行い、施術を終えました。

術後の経過

術後は動くのも痛みで一苦労だったのが動けるようになったと喜ばれていましたが、あくまで術後は調子がいいのは当たり前なので気を抜かないように。
今の症状が落ち着ついたら次は右股関節の正しい使い方、腸腰筋のリハビリを行う旨を伝えました。
今回の原因としては元々の腰椎の動きの悪さ、右股関節の使い方の悪さから常時腰部から右臀部にかけて負荷をかけていたことによるものです。
そしてお子さんが産まれたことが引き金となり、より負荷をかけてしまったために爆発してしまったと考えられます。
仕事柄血の消耗が多いので、辛いときはなるべく目を休めたり、考え過ぎないなど血の消耗を抑えることが重要です。
また仕事中の身体の使い方はもちろんですが、腰椎の動きや股関節の使い方、腸腰筋の筋力を改善していけば症状は徐々に消えていきます。


今回の患者さんは初月は週に1.5回施術、二ヶ月目は週に1回施術、三ヶ月目は二週に1回施術、それ以降は月1回施術のペースで来院されています。
現在は症状や痛みもない生活を送れているそうです。

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当院ではしっかりとした聞き取りや検査により原因を追究し、施術を行います。また根本回復を目標とし、リハビリやご自身での日々のケアの指導、施術以外の面にも力を入れております。
腰痛や肩こりなど、様々な症状で長年お困りの方、ぜひ横浜市鶴見区にある鍼灸院 鍼処経灸堂で一緒に二人三脚で症状に向き合い、快適な生活を送りませんか?

鍼処経灸堂 院長 藤田和喜