症例03 不妊症・肩こり・腰痛

当院にご来院いただいた患者さんの症例について書いていきます。

目次

主訴 不妊症・肩こり・腰痛

30代 女性

現病歴

妊娠を希望しているが1年以上妊娠することができない。
また夫婦ともに検査を受けたが特に異常は見られない。
現在病院にて不妊治療を行っている。
腰痛や肩こりは慢性的で疲労が溜まると発症する。

既往歴

特になし

症状

  • 不妊症
    • 不妊治療として人工授精を受けたが着床せず顕微授精を行う予定。
    • 下腹部が硬く、押すと痛みがある
    • 平熱が36度位
  • 肩こり 常に張っているような感じ 悪化すると頭痛も出る 腕を上げると最大挙上できない
    • テスト法 動作時痛(+) 回旋時痛 後屈制限
    • 肩上部圧痛(+)
    • 顎関節症(+) 開口障害(+)
  • 腰痛 動き始めが辛い 動いていれば徐々に痛みが引いてくるが一度座るとまた痛みが出る
    • テスト法 動作時痛(+) 前屈時痛 回旋時痛 後屈制限 
    • 腰部下部圧痛(+)
  • 下肢にたまに痛みが走る 冷え性
    • テスト法 
      • 股関節 パトリックテスト(+)内転内旋制限 屈曲時痛
      • 膝関節 テスト法(-)

症状の考察

  • 仕事で身体に負担をかけ過ぎているため、妊娠できる状態になっていない
  • 脈全体に力がなく、沈めて行くと無くなってしまうため血虚が強い
  • 下腹部が硬く、圧痛がある=瘀血があるため、妊娠を邪魔している
  • 平熱が少し低いので妊娠しにくくなっている
  • 過労により血虚が進み、そこで発生した虚熱が上焦や膀胱系に波及して腰痛や肩こり、頭痛を引き起こしている
  • 顎関節症により咀嚼筋が緊張し神経を圧迫して頭痛を発生させてしまう
  • 腰椎が後弯し、本来の前弯方向への動きが制限されてしまっている
  • 股関節は腸腰筋が上手く使えていないため、大腿外側優位になってしまうことにより大腿骨頭が上手く滑り込むことができない
  • そのため腸腰筋が神経血管を圧迫することにより神経痛を引き起こしている

症状に対しての施術

本治法としては肝虚熱証と捉え、肝経と腎経を補いました。
脈全体が元気ではないので熱証ですが物を増やす原穴(土穴)を使い、しっかりと血や陽気を補いました。
標治法としては背部兪穴、下肢膀胱経、肩背部に対して置鍼、血を動かすために肩背部、兪穴に知熱灸、骨盤内を温めるために八髎穴に透熱灸を行いました。
最後に調整として全身へ散鍼を行い、肩背部には瀉的な散鍼を行い気を散らしました。

手技として頸椎の調整、顎関節の調整、腰椎、股関節の調整を行い、頸椎のロックを取り、顎関節を開きやすくし、腰椎の前弯方向への動き、大腿骨頭の動きを滑らかにし腸腰筋の緊張を取り除きました。

そして日常生活での姿勢や動作、食事に対してのアドバイスを行い、施術を終えました。

術後の経過

施術後は身体が楽になるとの事でしたが、すぐには妊娠に至らず、週一回のペースで約一年程施術を行い無事妊娠することができました。
勿論病院にて不妊治療も併用して頂き、今回は二回目の顕微授精において妊娠しています。
鍼灸は妊娠させる訳ではなく、妊娠しやすい身体づくりをサポートします。
今回のケースは仕事などにより血虚が強く、また平熱も少し低いため妊娠することが難しい状態でした。
まずは仕事量を減らすことにより血の消耗を減らし、極力身体を冷やさないようにして体温を上げます。
そして鍼灸により血を増やし、骨盤内を温め、下腹部の瘀血を無くし、赤ちゃんのベットである子宮をふかふかで温かい状態へ持っていきます。

二回目の顕微授精を行う手前は平熱も上がり、下腹部の瘀血もなく血虚も少ない状態でした。
また妊娠中も継続して施術を行い、腎を補い妊娠を継続させやすくし、所々で現れる腰痛や肩こりに対応しました。
現在は無事出産し、母子ともに元気だそうです。

当院ではしっかりとした聞き取りや検査により原因を追究し、施術を行います。また根本回復を目標とし、リハビリやご自身での日々のケアの指導、施術以外の面にも力を入れております。
不妊症でお悩みの方、ぜひ横浜市鶴見区にある鍼灸院 鍼処経灸堂で一緒に二人三脚で症状に向き合ってみませんか?

鍼処経灸堂 院長 藤田和喜